リスクからの逃避
先週の月曜日にはドル円は95円台と1995年ぶりのドル安水準を見たことからニュース等で円高と騒がれる中で資源価格市場は徐々に値を崩し、金価格は先週月曜日に1032ドルまで上昇したものの、その後は900ドル近辺迄、原油価格も111.80近辺から一気に100ドル割れまでの下落につながっている。
背景には米ベアスターンズの破綻(正確には救済買収)により、ヘッジファンドを中心とした投機筋はリスクマネーからの逃避が起きているものと思われる。
原油相場や貴金属相場の行方が今後の為替相場を左右する可能性も高く、今週から来週にかけて資源価格には十分に注意をしたいところだ。
日経平均株価は2003年5月につけた7,603円と2007年3月の18,300円の61.8%戻しのレベルである11,689円レベルまでの下落を達成しており、一旦は底入れした可能性が高いといえる。
しかし米ダウ平均株価は2002年10月の7197ドルから2007年10月の14,198ドルの上昇幅の38.2%戻しが11,523ドルにあり、未だ下げ余地があるように見える。
ダウ平均が下落すれば日経平均の下落も可能性として残るが、米株価の上昇率は高く日経平均株価の下げ渋りとダウ平均株価の下落は両立する可能性もあるように思える。
資源価格、株価が調整基調に入った場合、為替市場でも投機的なポジションのまき戻しが起きる可能性が高く、週末にIMMポジションでは総じてドル売りポジションが溜まっているようには見えないものの、ドルが下落する中でドル売りポジションが増加しないことは過熱感が出ていない可能性がある。
その意味ではドルの戻りは限定的となる可能性は高く、ドル円は 2/14の108.62と95.77の38.2%戻しである100.70近辺で頭を抑えられる可能性も高いといえる。
また、38.2%戻しレベルを超えたとしても半値戻しの102.20近辺までの戻しがやっとという状態になるのではないか。
いずれにせよ今週はドル買戻しが先行する展開を予想するが、戻り売りスタンスを未だ維持するべきかもしれない。
下げ足の相場はやはり速い
先週のコメントでは短期的な過熱感が出ており、105円程度までのドルの買い戻しの可能性があるとしたものの、結局戻りは103.60までと十分な戻りを見せないまま、ドル円は一気に100円割れと1995年以来のドル安水準となっている。
95年台は米国の貿易赤字が膨らみ続け、ドル安によって輸入を抑える意図があったと思われ、当時の対米輸出額の多かった円を買い進む動きが円を中心として進んでいた。
最初にドル円が100円を割り込んだのは94年6月であり、当時のドイツマルクの対ドル相場をユーロに換算すると1.23台となり、当時のドルスイスのレートは1.31台、ポンドは1.55台と現在のレートとは大分違う。
当時に比べて現在はドルの信用不安に基づくドル安であり、その証拠にユーロ円、ポンド円などのクロス円では未だ円安レベルにいると言え、円買いはその他の通貨に比べてかなり出遅れている状態となっている。
これは日本の外貨準備の殆どが米ドルであり、日本円の通貨としての裏づけがドルの価値に基づいている為といえる。
日本にとってドルの暴落は円の価値の下落を伴うと言えることから米国の凋落は対岸の火事とは言えない状況にある。
ドルの下落速度が本来買われるべきでない通貨円に対しても進み始めたことから、ドルの下落は本格的なステージに入った可能性が高いように見える。
主要各国は自国通貨に対するドルの下落に懸念を持ち始めており、ユーロの上昇を黙認していた欧州中銀筋からもドル安懸念の発言が出始めている。
主要各国は依然として高水準のドルを外貨準備として保有しており、ドルの暴落は各国にとっても大きな問題となり、秩序ある下落は放置したとしても暴落を避けるための方策をとる可能性は高いと思われる。
現時点では所要各国は米国の信用不安に対して、自国金融機関への流動性供給という形で信用不安を防いでいるものの、株式市場の下落、ドルの急激な下落が続けば協調介入など具体的な方策を打ち出してくる可能性が高いといえる。
ドル円は週末98円台までの下落となったが、週末のIMMポジションでは円買いポジションが大きく膨らんでいるようには見えない。
またユーロドルやその他の通貨でも同様であり、現在は投機的な動きというよりは実需に絡んだ動きといえるのではないか。
週末に発表された米大手証券ベアスターンズへの資金供給など金融機関の信用不安は未だ根強く、先週は米国ならびに主要各国が流動性供給に躍起になっている。
株式市場もベアスターン株が50%の下落を見せるなど市場のボラティリティの上昇が続いており、各国中銀も市場の変動率の高さに懸念を覚え始めているのではないか。
FRBにしてもECBにしても為替市場への単独介入の無意味さを知っており、日本ならびにFRBによる単独介入の可能性は低いと言える。
しかしドルの下げ足が今より早まれば各国のドル暴落懸念が強まり、協調体制を採った具体的な行動に出る可能性も否定できない。
但し、ドル一極体制が現在の経済不安を起こしている面も否定できず、今後も長い目でドル資産からの逃避が続くことは確実と思われ、ドルは多くの通貨に対して頭の重い展開が今後数年に亘り続く可能性が高まっている。
短期的なドルロングはまだしも長期的なドルロングとなれば相当も押し目を待っての参入とするべきかもしれない。
もっとも、この経済不安が立ち込める中で中央銀行総裁を決めることの出来ない危機感の無い政府を売り込むという意味ではドルだけではなく、円売りもクロスを通して行うべきかもしれない。